リレー随筆コーナー

去るもの・残るもの



小笠原 裕(37期)


先日、9年ぶりに引っ越しをすることになりました。

私は、高校で実家を出てから、これまで大小取り混ぜて、実は10回以上引っ越しをしています。
もともと、荷物が多いことから、その度に荷造りに大変な苦労をしてきました。

ものが減らない悩みを解決しようと、ひところ流行った断捨離だとか、人生がときめく云々とか、いろいろ先達の本を読みました。
しかし、読んでみた結果としては、これは一度、根本から人生観を変えない限り、どうも自分には片づけは無理そうだ、ということが分かり、がっかりするばかりでした。
唯一、下着のたたみ方としまい方だけは、これらの本から学ぶことができました。
いまでも、これは役立っています。

しかし、今回の引っ越しは、これまでとは少し事情が異なりました。
そもそも、いろいろな事情から、いままでよりも狭い間取りに、いままでよりも多い人数で住むことになるので、新居には物理的にものが入りません。

加えて、要るもの・要らないものを選り分けている時間もそうそうない、ということで、ネットで検索して、回収業者さんのお世話になることにしました。
そうなると、今まで何年もものが片付かなかった悩みが、うそのように解決していきました。
本なり、電気機器なり、音楽を録音したテープなりといった、再入手の手段のあるものはともかく捨てるかブックオフ行き。
さらに、学生時代のノートなり、昔気に入っていた洋服なり、といった、再入手の手段のないものであっても、もうすでに自分の血肉になった、と考えられるものはやっぱり回収業者さん行き。

ともかく、家具を含めて2トントラック数台分の(思い出あふれる)品物と、段ボール三十何箱分のブックオフを出したのちに、ほとんど空身で新居に移動、ということになりました。
車も、手放しました。


4年の時の定演プログラムと、新人向けにメンバが互いを紹介しあう「他己紹介」


卒団のときに後輩からもらった額、色紙と「追い出し状」

そんななかで、本当にわずかばかり手元に残したものは、やはりそれらの中でも思い出が強く残るもの、ことに楽友の現役時代を思い出すものたちでした。
イベントごとに自分でとった写真を始めとして、卒業のときにもらったペナントや”追い出し状”、後輩が書いてくれた色紙など、学生時代を思い出すものが多く残りました。
こういうときに、何を残すかは人それぞれと思いますが、私にとって楽友がどれほど大きな存在だったか、整理をしてみて改めて気づかされたように思います。

最近はFacebookなどのソーシャルネットワークを通じて、懐かしいメンバーと再びつながることも多くなってきています。
実際に会うことも、また増えてきました。
この機会に、昔ながらのつながりを温めなおしたい、と考えている次第です。

次のバトンは依頼中ですが、回答待ちです。(2016/01/26)

38期の土居千亜紀さんにバトンを渡しました。(2016/10/25)

    


編集部 今年も順調にバトンタッチが続いています。無事、2編目のエッセーを上げながらご満悦です。

今週末は楽友三田会の総会・新年会です。原稿を煩わせた皆さんにお礼を言うのに、お名前を覚えていれそうにもないほど大勢の方々、名簿を作っていかないとなりません。(2016/1/26・かっぱ)


FEST