塾を卒業以来遠ざかっていた合唱コンクールに10月5日挑戦することになった。錆びついた頭に油をさし、台所に立つ時も、イヤホーンを耳に差して一生懸命暗譜をしている。人間を50年やって来て、合唱とのお付き合いはなんと30余年になる。
中等部で芥川也寸志先生、故志賀朝子先生に指導を受け、女子高に行って、楽友会に入会し、7年間の学生生活を常に楽友会と共に過してきた。卒業後数年のブランクはあったもののOB、OGの集まりである楽友三田会に所属し、現在に至っている。
合唱団仲間では、年齢の差など念頭になく、まさに打てば響く仲であり、歌う楽しさと同時に語り合う楽しさも味わっている。月2回、3時間半の練習の後近くの喫茶店に集い、のどをうるおしながら、ワイワイガヤガヤ、まるで学生の集団のように賑やかな会話がある。学生時代と違って、何の規制もなく、唯楽友会に所属していて、歌うことが好きというだけの集まりである合唱団は、時には消え失せそうになったこともあるが、団員各々の心の中には自分達の会であって、あなた任せにしてはいけないという自発性が根強く、各々が仕事を分担して運営に当たっている。歌うことが好きだからこそ、その基盤を大切に存続させていこうという意識があり、何かにとりつかれたように合唱を愛している団体である。
楽友三田会の会員には親子会員もできて、会がますます大きく成長していくことは聞違いなく、塾という大きな樹の一枝として繁ってゆきたいものである。
現役の定期演奏会の切符販売のお手伝いや、交歓会など、若い仲間との交流を持って刺激を受け啓蒙されながら、少しでも良い演奏活動ができることを目標に練習に通う昨今である。
|