随筆コーナー

東京ユヴェントス・フィルハーモニー第25回定期演奏会
指揮 坂入健司郎


川村 和男(15期)


2024年1月27日(土)18時30分〜21時

東京ユヴェントス・フィルハーモニー第25回定期演奏会

指揮 坂入健司郎

曲目 
 @ワーグナー 「パルジファル」より
 第1幕への前奏曲(飯守泰次郎氏への追悼演奏)

 Aドビュッシー 交響組曲「ペレアスとメリザンド」
 
(アラン・アルティノグリュ編曲

 Bブルックナー 交響曲第7番

会場 ミューザ川崎シンフォニーホール


指揮者・坂入健司郎氏の実演は初めて、予想を超えた素晴らしい演奏でした。

ブルックナー交響曲第7番は大好きな曲で、ドイツ、オストリー系の巨匠と呼ばれる名指揮者で数多く聴きましたが、今回はフレッシュな新発見の多い名演奏でした。現在35歳、今後の更なる活躍を期待出来る気鋭の指揮者です。

1曲目は昨年逝去された恩師・飯守泰次郎氏への追悼演奏。最弱音で美しい弦楽器の響きが印象に残りました。2曲目はドビュッシ―歌劇「ペレアスとメリザンド」のエッセンスを20分に編曲。ガラス細工の様な繊細な響きを楽しみました。

ブルックナー交響曲第7番では第2楽章のアダージオ(ワーグナーの追悼の想い)に感銘を受けました。更に第4楽章が素晴らしい演奏でした。第4楽章・終盤の全休符(ゲネラルパウゼ)を少し長めにして、美しい弱音で再開、フィナーレに向かう高揚感が感動的でした。また、全曲が終了しても指揮者がタクトを下すまで観客は静寂を守り、ホールの響きの余韻を楽しみました。

PS 1974年6月に、ヨッフム指揮ウィーンフィル(会場・ウイーン楽友協会ホール)でブルックナー交響曲第7番を聴き、至福の時間を過ごしました。(ブルックナー生誕150年)

(ご参考) 指揮者・坂入健司郎・略歴
1988年生まれ、神奈川県川崎市出身。慶應義塾大学経済学部卒業。
これまで指揮法を井上道義、小林研一郎、三河正典、山本七雄各氏に、チェロを望月直哉氏に師事。大学卒業後10年、サラリーマンとしてフルタイムで働きながら指揮活動を続け、2008年より東京ユヴェントス・フィルハーモニー(前身は慶應義塾ユースオーケストラ)を結成。マーラーやブルックナーの大作の数々はCD化され、批評家からも高い評価を得ています。

(2024/1/29)

    


編集部 川村君からのメールです。新年会の後、我々は2次会だったのに、彼は川崎に飛んでいきました。

坂入健司郎は普通部へ入学し在学中から指揮者を志し、慶應高校ワゲネルオーケストラの指揮者に就任。大学時代はワゲネルオーケストラでチェロを弾き、更に慶應ワゲネルオーケストラOBの自前オーケストラを設立して指揮者に就任しました。卒業後は10年間サラリーマンを勤め、数年前にプロ指揮者になった、異色の経歴をお持ちです。 川村和男

そして、この原稿です。川村君、ご苦労様でした。いつもアリガトー!

(2024/1/29・かっぱ)


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