リレー随筆コーナー

出雲の生活


佐藤史章 (33期)


さてさて、楽友会を巣立って何年経つのでしょうか。数えること30年越え…。その間コーラスとは縁遠い人生を歩んでいます。今は福井県鯖江市に生活基盤を置き、技術者としてモノ作りに情熱を注いでいます。直近では島根県出雲市の地に異動、家族を残し、単身赴任生活を過ごしています。社内メンバーに自己紹介機会をいただく場面が多くなっていて、大学時代の一コマとして、楽友会での最後の定演の写真を紹介しています。あの頃を見返すいい機会になっています。歌声を生かす場は、もっぱらスナック。昭和のポップス女性シンガーソングの出番が多いでしょうか。竹内まりやさんのご実家も出雲(出雲大社前、旅館、まりや&達郎の多種のCDがフロント横にあります)というご縁もありますし…

今日紹介するのは、休日の過ごし方です。部下を連れ出して一緒に遊ぶという定番手法もあったのですが、今や休日も上司と遊ぶのは若い人嫌うでしょうし、コロナ禍ということもありまして、一人で遊ぶという自然の結論に。では何をするかと言いますと、今流行りの「ソロキャンプ」です。昨年の流行語大賞で、芸人のヒロシさんが有名です。

出雲の地に来て、早速出雲のちっちゃなアウトドアショップで全ットを揃え、島根県内のキャンプ場を巡るようになりました。全て自己責任なので、一切他に気をつかう必要がありません。ほんと自由空間。やることは「食う」「寝る」「焚火」あとは「ボーっとする」ことだけ。ほんと単純です。

ただ少しだけ私なりのこだわりがあります。新月の時にソロキャンに行くということ。夜晴れていれば間違いなくMilky Way(天の川)が頭上に現れてくれます。天の川は、光の無い深夜に出ます。キャンプ場にいる人は全員飲み疲れ、はしゃぎ疲れか熟睡状態。わたしだけ、夜空に輝く星たちを眺め、静かにカメラのシャッターを切る。たまらなく癒しの時間になっています。
 


ソロキャンプ

天の川

ミニ両刃出刃

斐乃上温泉露天風呂

 
ソロキャンプ も回数を重ねていくと、大概の方は悪い病気にかかってしまいます。それはキャンプグッズ沼。一旦ハマったらソロキャンをやめない限りは抜け出せないくらいの厄介な沼です。癒しの場において、手元にお気に入り、こだわりのキャンプギアを置きたくなるのです。写真の包丁は、たたら製鉄で有名な奥出雲にある打刃物屋さんにて、御歳84才の3代目師匠の指導の元、自分で鋼を打ち鍛治仕事で仕上げた、こだわりのミニ両刃出刃。師匠が私の銘を彫り込んでくれました。まさしく一生物の私だけのグッズ。錆が出やすく手間がかかりますが、大事に道具を育てていく。これもソロキャンプ の楽しみの一つになっています。

もう一つの楽しみは、ソロキャンプの帰路に立ち寄る、温泉。島根県内の多くの温泉は「美肌温泉」となっています。写真の露天風呂は、日本三大美肌温泉の斐乃上(ヒノカミ)温泉。八岐大蛇伝説で素戔嗚尊がオロチを退治した川、斐伊川の源流付近にあり、トロトロの湯となっています。斐伊川は暴れ川で、出雲平野、宍道湖周辺、松江の街中に水害を起こします。この暴れ川がかオロチとも言われて、治水活動がオロチ退治とも言われたとか。また、古事記では斐伊川の上流から箸が流れてくるのを素戔嗚尊が見つけ、上流に人がいる(オロチ退治で助けることになる奇稲田姫の両親)ことに気づく、場面にもなっています。日本の太古の昔の記録書、古事記のストーリーにも思いをはせながら、温泉湯につかり、割子そばを食べ、帰路につく。出雲ならではの経験をさせてもらっています。

こんな休日を、過ごしています。

ちょうどお時間となりました。お付き合いありがとうございました。

(2022/7/22)

    


編集部 また、他のリレーが止められている間に、この33期のリレーは順調に進んでいます。

佐藤史章君があっという間に書いてくれました。キャンプにはまっている様子が手に取るように見えます。私など、キャンプに行ったのは高校1年の時、蓼科に5人で行ったのが最初で最後でした。はまらなかったのです。

佐藤君、バトンリレーを頼みますよー!

(2022/7/22・かっぱ)

もうリレーは廃止です。この稿が最後のリレー随筆です。

(2022/8/9・かっぱ)


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