Editor's
note 2015/9 |
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季節の花:コスモス |
★ この夏は戦後70年の節目で、たくさんの記念行事が催されたり、新聞・雑誌等に特集記事が編まれたりして大変だった。ことほど左様に「節目」は人々に社会的行動を促す重要な契機となる。 それには「還暦」や「傘寿」、「銀婚式」に「金婚式」、あるいは「生誕X年」や「没後XX年」といった様々な種類があるが、スパンとしては25年→50年→75年とか、長いものでは50年単位の刻みがある。とはいえ通例は、やはり昔から「10年 |
▼ その伝でいくと「楽友会」の節目はどうなっているのだろう。高校楽友会はつい最近(‘14年3月)第50回定期演奏会を迎え、盛大な記念祝賀会も催した。大学楽友会は‘11年12月の第60回定期演奏会でメイン・ステージに林光先輩(故人・会友=創立メンバー)作曲の音楽劇「かしわばやしの夜」を据え、往時を |
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▼ 私の個人的感想ではあるが、このままでは |
菊 |
▼ 合同演奏会や祝賀行事のよさは、50周年の時に参加された諸兄姉はよく覚えておられるだろうが、楽友会に名を |
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彼岸花 |
■ そこで私は<「創立70周年」を記念する行事(演奏会・祝賀会あるいはその両方)を‘17〜‘19年中に開催すること>を、今年度第2回の代表幹事会の議題として提出させていただくことにした。前向きにご検討いただければ幸いである。「楽友」HPとしても積極的にPRし、実現に向けて盛り上げていきたい。わが人生、最後のご奉公と思っている。 (2015年9月7日/オザサ) |
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Oscar Hammerstein II and Jerome Kern |
Darby and Joan:2年先輩の物識り、葛西さんがFacebookで「”Darby and Joan”になるまで楽しみなさい、人生は一度だから」という書き込みです。私がどれほどJazz好きなのかと、「かっぱとJazz」を「Darby and Joan」に例えたのでしょう。 ふと、私の頭をよぎったのはJerome KernとOscar Hammerstein IIの1937年の歌”The Folks Who Live On The Hill”の歌詞です。 しかし、”Darby and Joan”の原点は、1735年にHenry
Woodfallがロンドンの雑誌The Gentleman's Magagineに書いた詩、The Joys of
Love never forgot. A Song.に由来する。HenryはJohn Darbyのもとで印刷業の見習いだった男である。 |
後に”Darby and Joan”は「仲睦まじい老夫婦」という意味を持つ代名詞になった。
Oscarさんは、200年後に”Darby and Joan”という老夫婦の名前を歌詞の中に取り入れている。200年前の雑誌の記事を知っているということです。驚くべき作詞家です。そう、それをご存知の葛西さんもすごい。私はたまたま歌を知っていたから。その歌詞には、
という一節がある。Bing Crosbyが最初に歌い、1957年になってPeggy Leeが歌いヒットさせた。 The Folks Who Live On The Hill とは、この年寄り夫婦のことを指しているのだ。 ところが、Peggy Leeは、Baby and Joeと歌っている。アメリカではDarby and Joanという名前の意味が、この歌が出来てから20年も経っているのに、まだ、一般人には通じなかったという解説がある。1981年にPeggy Leeが歌っているシーンがYou Tubeにある。そこでもBaby and Joeと歌っている。一生、こう歌ったのだろう。 なぜ、原詞のとおり歌わなかったのだろうと思うでしょ。それはですね。彼女は作詞家だからです。 相生の松:さて、このような伝説は日本にもある。兵庫県の高砂神社の「相生の松」は一つの根から雌雄2本の松が生え、
世阿弥の能「高砂」は相生の松によせて夫婦愛と長寿を愛で、人世をことほぐ大変めでたい能で、昔の結婚式では、 ♪高砂や〜、この浦舟に帆を上げて〜・・・ と謡曲が演じられたものだ。「あいおい」は「相老」にも通じる。 Oscarさんが生きていたら教えてやるのになぁ。 ビートルズと歌のタイトル:ボサっとして見ているとそっくりのタイトルの歌がある。”The Fool On The Hill”だ。翻訳すると「丘の上の愚者」となる。冗談でこういうタイトルを付けたのか、地動説のガリレオが愚者に仕立てられた。丘の上に立つ愚者が太陽の沈みゆくのを眺め、彼の心眼は地球が回って行くのを見つめている、と歌っている。 1935年の”I'm Gonna Sit Right Down And Write Myself A Letter”というFats Wallerの弾き語りで有名なスタンダードがあるが、”I'm Gonna Sit Right Down And Cry Over You”というのが出てきた。タイトルだけパッと見て「また、やったな!?」と呆れたものだ。ビートルズ世代の人にはFred E. Ahlertなんて作曲家は知る由もない。 ついでにもう一つ。1934年の”P.S. I Love You”がある。Johnny MercerとGordon Jenkinsのコンビが書いた佳曲だ。知りながらか、知らずしてか同じタイトルの”P.S. I Love You”を1962年に発売した。レコードをプロデュースした人間達はそのことを知っていて、「A面には相応しくない」とこの歌をB面にした。後ろめたかったのだ。 おまけにもう一つ。ビートルズの”Yesterday”を聴いたとき、新鮮なメロディとユニークなコード付けにはびっくりしたが、とっくの昔、1933年にJerome Kern/Otto Harbachにより”Yesterdays”が書かれている。「何故、この人たちは紛らわしいタイトルの歌を出すのだろう」と思った。 私の周りには「ビートルズの歌は全部歌える」という人が3人以上いる。でも、こういうことをすべて知った上で歌っているのだろうか。 60年代に登場して世界の隅々にまでその名を轟かせたことは確かだ。しかし、ジョン・レノンが 「ビートルズはキリストより有名になった」 とまで言ってしまった。若気の至りもここまで来ると・・・ネェ。しかし、後年、ローマ法王庁は「有名になった若者が豪語したに過ぎない」という見解(赦免)を出したそうだ。ジョン・レノンは子供扱いされたのですよ。 Maxine SullivanのThe Folks Who Live On The Hill:ありとあらゆる歌手がこの歌をカバーしてきたが、私が一押しにするのはクロスビーでもペギー・リーでもない。1911年(明治44年)生まれのマキシン・サリバンの、しかも、このバージョンです。バックはライオネル・ハンプトン楽団で1955年のレコーディングです。
↑↑映像を開始してから歌詞をクリックしてください マキシンは亡くなる前の年、1986年に富士通コンコード・ジャズで来日しました。わたしはこのお婆ちゃんが大好きでした。 (2015/9/7・かっぱ) |
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