だがジャズからJ-popそしてクラシックその他の広範なレパートリを歌いまわす技量や選曲に<やはり血は争えない>と感じ入った。それもそのはず、4名中2名は塾員で1人はワグネルの学生指揮者であった仲光 甫(芸名:Steve)さん、もう1人は西脇史門(芸名:Simon)さんという高校楽友会(42期)のOBであった。ちなみにシモンさんはAKGCの同年代ステージにもFUTURES
COME TRUEの一員として登場し「包容力抜群のベース」として歌っていた。大学は経済に進んだが楽友会にもワグネルにも属さず、在学中からジャズ・コーラスに入れあげていたという典型的KEIOボーイ?既に6枚のCDをリリースし、意気軒昂たるjammin'
Zebの一員。正に、男声カルテット界のホープである。
⇒ http://jamminzeb.com/
▼ 竹中一夫さん(17期)は「水のいのち(作詩:高野喜久雄/作曲:田三郎)」に篤い思いを抱いていた。私も田作品には深い思い入れがある。もっとも私の場合は故・伴有雄さんへの想いと重なる。私が高2で伴さんが大学2年の頃。伴さんは田先生に師事しており、そのご縁で「春」・「風」・「梢」の3曲を高校の日吉祭で演奏することになった。するとある日、伴さんは「これも練習の一だ」と言って私を田先生のお宅に伴われた。そこで私はあのギョロ目のオッカナイ伴先輩が、額に汗かきながら先生の前でかしこまり、ひたすら「はい、はい」と教えを賜わっている光景を目にすることができた。片隅で縮こまり、ひたすらノートをとるばかりであったが、あの時の緊迫した雰囲気は忘れられない。田先生が途方もなく偉く、怖い方に思えた。そのせいか、今でも教会のミサで典礼聖歌を歌う時には、思はず畏まってしまう。
▼ その「水のいのち」を指揮した近藤大介さん(MJK48)が、上記の竹中さんや伴博資さん(11期)から絶賛を博した。いつもは辛口の両氏が賛辞を寄せたのは、その指揮によほど感動したからだろう。それを読んで私まで嬉しくなった。近藤さんを「わが友」と思っているからだ。というのは・・・。高校楽友会出身者の集う「忠友会」メンバーが主となって開いた、現役高校生や楽友三田会員も相集う最初の「懇親会(10年10月)」で、私は初対面の人物から「私は高校楽友会19期(楽友三田会32期相当)の近藤大介です。今日は井上清先生(楽友三田会4期・以下オキヨ)とお会いできると思っていましたが・・・どうか、よろしくお伝えください」と挨拶された。早速その旨オキヨに伝えると「オゥオゥ、彼が私に会いたいとは嬉しい限り。実はね、彼の親父とは幼稚舎時代からの長いつきあい。学校卒業後も幼稚舎の教諭と校医という関係で家族同士の交わりに発展した。だから大介が子どもの頃のことはよく覚えている。だが、その後は彼も楽友会に入ったという噂くらいしか聞いていない。ぜひ会ってみたいねー」ということ。そこでご両人は、間もなく開催されたOSFの第2回ファミリー・コンサートで感激の再会を果たした。・・・というわけで友の友は「わが友」というわけである。
スイレン(睡蓮)
▼ そしてもう1人、伴・竹中両君が絶賛したのがピアノの金井信さん(高校楽友会11期)のこと。第2部の殆どのステージに登場し、際立つピアニズムで各グループの演奏を引き立てておられたが、少しもプロとしてのスタンド・プレーはなく、あくまでも旧友たちの黒子に徹して演奏された様子に心なごんだ。塾高卒業後は楽友会にもワグネルにも属さずに哲学を専攻して卒業。その後は芸大の声楽科から尚美の作曲科へと転進を続け、マルチ・タレントの音楽家として研鑽を積まれた。その広範で多彩な活動はとうていこの限られたスペースでは書き尽くせないが、楽友会の皆さんなら林光・小林亜星両先輩を足して2で割ったような人物、と書けばイメージが伝わるだろう。何れにしても、久しぶりに知った異能の楽友会人の登場であった。
⇒ http://homepage2.nifty.com/duo/topia.html
▼ 須田和宏さん(高校楽友会15期)のこともこの機会にぜひ特記しておきたい。大学ではワグネルで学生指揮者を務めて合唱音楽のとりことなり、卒業後もアマチュア合唱団の育成や広範な合唱曲種の作・編曲と手がけてその道のプロとなられた。3年ほど前にヒョンなことからOSFで須田さんの編曲された「千の風になって」の男声合唱版をお借りしたのが縁で、「忠友会」および「高校楽友会」との縁もつながった、これは実に貴重な出会いであった。今回はThe
Gold Blendsのバスとして、旧友たちと一緒に歌う姿を拝見したが、さすが34年も歌い続けてきた男声カルテットだけあって、何とも温かみのあるハーモニーを醸し出していた。それを聴きながら私は、個人的には、ぜひこの須田さんが高校時代に岡田先生に指揮法を師事された経験を生かし、高校楽友会の面倒も見てほしいし、近い将来、日本の合唱界を担う存在として故・関屋晋氏の後を継ぐ存在になっていただきいと願うようになっていた。
⇒ http://music.geocities.jp/chorforest/intro.html
■ 最後に当日、大久保厚子さんと一緒に司会進行役を務めた亀井淳一さん(高校楽友会16期/楽友三田会29期)に祝詞を謹呈したい。先ずはAGFCの今年度不開催の穴を埋め、急遽、阿波田尚さん(高校楽友会13期/楽友三田会26期)との名コンビで当プロジェクトの実行委員会を組織し、周到な計画と準備、それに関係先との多種多様な折衝に献身的な努力を重ね、この高校楽友会初の合唱祭を大成功に導いてくれた貢献に、心からの敬意と感謝を捧げる。実に創立以来64年目の快挙であった。何もかもが自前の自主コンサートが盛大に行われるのを見て、岡田先生ご夫妻も感激のご様子であった。もちろん日高好男さん(高校楽友会1期/楽友三田会14期)他シニア・メンバーの積極的サポート、また女声の人員不足を補う筑紫秀子さん(高校楽友会・会友/楽友三田会4期)を始めとする多数のOGの合唱参加があってこその話ではあるが、もし亀井⇔阿波田コンビの楽友会活動に対する愛と情熱がなければ、これほどの成功は得られなかっただろう。聞けば、亀井さんのご子息は今春中等部から塾高に進み、楽友会に入部して現役ステージに登場されたとのこと。楽友会にとっては久しぶりの、父・息子二代にわたる親子会員の誕生であった。メデタシ、メデタシ!!! (オザサ・7月7日)
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