麻生先生はご定年が近くなると趣味の絵画を再開されていたようです。12〜3年前に私が息子を連れて習い事に行っていたカルチャーセンターで、麻生先生とバッタリお会いしました。そのときは、「風景画を描いていたけれどいまは人物画を習っているの」とおっしゃっていました。その後、個展のご案内などをいただくようになり、また、先生のお孫さんと我が家の子供たちが同じ小学校だった関係で、運動会でもお会いするなど親しく年賀状のやりとりなどもさせていただいておりました。お嬢さんのお仕事が忙しいので、「私が全部ごはんのしたくしているのよ〜うふふ」とお忙しくも充実した日々を送っていらっしゃるようすがわかりました。
いつお会いしてもニコニコと笑っていらしたので、まさか2年も前から病魔に襲われていらしたとは夢にも思いませんでした。本年5月の個展では、ヨーロッパスケッチ旅行の際の絵画や、また日本画を思わせるものなど、とても繊細で麻生先生らしい優しいタッチの作品の数々を拝見しました。先生はおそらくはご自分の余命をご存じで、作品を通して画廊にいらした方々とお別れをされていたのかもしれません。