追悼文集

渡邉先生の思い出


筑紫 秀子(4期)


09年1月15日、93歳の生涯を終わられた渡辺先生にお別れをさせていただくために、大岡山福音ルーテル教会にお伺いいたしました。

愛称「ポッポちゃんたぶん鳩のイメージからだと思いますが」先生は、一番生意気な年頃の女子高生を相手に、相当なご苦労をなさったことでしょう。学者肌でいらした先生に対し、真剣に相対した生徒は数える程だったと思います。本当にもったいないことでした。ただ、楽友会の練習は本当に楽しみにしておられたようで、欄間のある日本間の音楽室で、小さなお体で一生懸命伴奏をしてくださったお姿が今も目に浮かびます。

最初のころは、前髪を高く盛りあげた、竹久夢二が描く女性のような髪形をしていらして、生徒の間ではとても話題になりました。52年の夏の翁島合宿(男女初の合同合宿)には、家庭科の高比良先生とご一緒にお子様を連れて参加され、お母様としてのお姿も拝見できました。

女性団員は高比良先生のご指導の下に食事の用意を担当、キャベツを山ほど刻みました。いかにおいしい物を提供するか、先生方もご苦労されたことと思います。当時は、今に比べて食材も物も不足した乏しい時代でしたが、知恵を出しあい精神的には本当に豊かで楽しい思い出がたくさんできました。渡邉先生とも良い思い出を共有させて頂いた幸せに感謝し、お別れをさせていただく事ができました。(2010年1月18日)

猪苗代湖畔の桟橋で。渡邉先生の令嬢次女:優子さんと女子校2年のお姉さんたち後列右が筆者/先生の遺影や合宿風景は「アンソロジー」→「記念文集」参照

混声合唱初の地方公演:52年8月9日(日)19時開演/会津若松市公会堂
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前列右から山上昭子先生女子高、高比良信先生女子高、吉田幸子先生国立音大、渡辺鎮夫君渡邉先生令息、岡田忠彦先生指揮者、穴沢養一氏会津若松市音楽協会長・同医師会会長、渡邉恵美子先生女子高、渡邉優子君渡邉先生令嬢他、高1から大2までの慶應義塾楽友会員62名男声33名/女声29名