慶應義塾楽友会クロニクル
慶應義塾創立百年祭記念音楽会への参加
音楽愛好会と楽友会併走期間中52年~63年の最大のイヴェントは「創立百年祭」を記念して開催された「音楽会ベートーヴェン:交響曲第九番『合唱付き』/58年」への出演でした。これは、奥井復太郎塾長当時が「記念行事の最優秀プログラムの一つ」と位置付けた重要な公的行事であっただけに、楽友会は意欲満々でそのプロジェクトに挑戦しました。歴史の浅い楽友会として、これはその名をあげる絶好のチャンスと思えたからです。

元来は伝統あるワグネル・ソサイェテイーの主導によって企画されたものです。しかし、同団の部長である村田武雄教授の強力なご支持を得て、「第九」経験者の多い楽友会もその一翼を担い、慶應義塾、ワグネルそして楽友会の3者共催の形でこの音楽会構想が具体化しました。


慶應義塾創立百年祭記念音楽会  日吉記念館 1958/11/12

そして岡田先生は、楽友会とワグネル合同合唱団の合唱指揮者に任命され、その任務を全うするため、58年度の楽友会運営と演奏活動はすべて学生に委ねられました。そこで、第7回楽友会定期演奏会は7月に開催し、指揮は学生指揮者2名と芸大に転学したばかりの若杉弘(3期)君だけで分担し、オケ付きのメイン・ステージは設けない、という極めて異例のプランを立て、後は「第九」演奏に全精力を傾注することになりました。 

何事も異例ずくめで練習量が増大し、大変な年となりましたが団員一同の奮闘で結果は上首尾に終わりました。「音楽会」当日58年11月12日は水曜日でしたが、立錐の余地もない、満員の聴衆で埋まる日吉記念館で「歓喜の歌」は高らかに鳴り響き、大拍手がそれにこだましました。終演後、合唱団を代表して筆者4期/大4が花束贈呈を受けましたが、それは全楽友会に与えられた栄冠のように思えました。以後「楽友会」の存在は、あまねく全塾に知られることになったのです。


百年祭記念音楽会チラシ


百年祭記念音楽会プログラム(クリックで拡大)

(オザサ記)


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