【海風という季節】
乙女の歌声が響くクリスマス
2012年11月19日

東京・大手町の金融機関で働く山野井友紀さん(26)=横浜市磯子区=にとって、横浜・山手地区は、中学高校6年間を過ごした学びの地であり、今でも友人が遊びに来ると必ず案内する観光名所でもある。

山手の散歩コースはJR石川町駅から始まる。乙女坂を上り、母校の横浜共立学園を横に見て、しばらく歩くと、外交官の家やエリスマン邸などの洋館が続く。道ばたで、インターナショナルスクールに通う子どもたちの英語が飛び交う。母校の宣教師が眠る外国人墓地を通ると、港の見える丘公園が見えてくる。
 

「この散歩道を歩くと、学生時代を思い出すんです」

高台にある校舎からは、大きな空と横浜の町が見渡せた。天気が良いと外の景色に気を取られ、授業に身が入らなかった。

部活動は聖歌隊。放課後、練習を終えると、下校のチャイム「遠き山に日は落ちて」に見送られ、友人と賛美歌を口ずさんで家路についた。「冬の下校時に見えるみなとみらいの夜景がとてもきれいでした」

散歩道のおすすめの季節は、クリスマスだ。教会や洋館が多く、異国情緒があふれる。

当時の山野井さんのクリスマスの過ごし方はこうだった。

学校のクリスマス礼拝に出席し、聖歌隊としてクリスマスキャロルやハレルヤを歌った。聖歌隊も参加し、生徒たちで夏から作り上げたページェント(キリストの降誕劇)には、毎年感動したものだ。

その後、礼拝に出席した母と一緒に、山手の洋館を巡った。洋館内の、各国をテーマにしたテーブルセッティングやツリーは華やかで、まるで外国の絵本の世界のようだった。

最後は坂を下って、元町に。通りのキラキラしたイルミネーションやショーウインドーに心を躍らせ、その日は幸せな気分で家に帰った。

今年も、もうすぐクリスマスがやってくる。山手の丘にまた、乙女たちの歌声が響く。

(曽田幹東)


編集部おなじみの山野井さんの記事がまたまた新聞紙上(朝日新聞神奈川版)に掲載されました。山野井さんからのお知らせです。消えてしまわないうちに転載しました。お勤め先では有名人になっていることでしょう。旧記事にリンクしておきます。(わか・11/19)

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