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第5回「羅漢」定期演奏会

2015/6/21

神奈川県民ホール小ホール


太田  誠(16期)

男声合唱団「羅漢」は、6月21日(日)、第5回演奏会を無事に終了いたしました。神奈川県民ホール小ホールが満席のお客様で溢れ、充実したコンサートとなりました。雨模様の中、横浜まで足を運んでいただいた皆様に深く御礼申し上げます。

今回は、「新たな挑戦に向かって」をテーマに、創団以来初めてとなる中島はる作品を離れた演奏ステージを模索しました。

第一ステージは、林光さんの編曲による「日本抒情歌曲集」から箱根八里など6曲を、羅漢の指揮者デビューとなった川村和男の指揮で演奏しました。楽友会の大先輩である林さんの作品を、後輩仲間が演奏するという感慨と共に、耳になじんだメロディ、王道をゆく男声合唱曲ならではの、醍醐味と楽しさを実感出来ました。モーツァルト作曲「ピアノ協奏曲第27番の第3楽章 kv.595」と「歌曲・春への憧れkv.596」を融合させた林光さん編曲の「早春賦」では、これも伴奏ピアニストとして初めて共演した田中理恵さんの自作カデンツが聞かせどころとなりました。

第二ステージは、新入団の金子正雄の推薦で取り上げた橋本剛作曲による「天景」を福井良太郎の指揮で演奏しました。弱冠41歳の新鋭作曲家の無伴奏組曲で、変拍子、リズム、和音とも、熟年合唱団にとっては大いなるチャレンジのステージとなりました。いくつかの部分は、作品に込められた深いメッセージを十分に表現にまでこなし切れず、演奏する側としては不本意な仕上がりとなりましたが、来場してくださったお客様を始め、作曲家自身からは望外のコメントを頂き、とても安心しました。

第三ステージは、「エンターテインメント系」を追求した、池田龍亮の指揮する「Try to remember」。われわれメンバーの青春時代を彩ったFour FreshmenやBrothers Four、Four Prepsのレパートリーから6曲を演奏しました。指揮者の熱い思い入れを込めた軽妙な演奏曲目解説に、会場も演奏者も楽しめたと思います。最後の”Somebody Loves Me”のピアノ伴奏譜は、高校時代から楽友会のお仲間だった岡部正二先輩による譜面でした。英語の滑舌やリズムのむずかしさは一朝一夕には会得できないながら、皆で楽しむ雰囲気だけは何とか表現できたかも。

続いてボーナスステージと称し、3人の指揮者がそれぞれ1曲づつ、実質的には押しつけアンコールを演奏。さらに最後は中島はるさんの「酒を讃える萬葉の歌」から乾杯の部分を、会場のお客様と唱和し、和やかな雰囲気で会を閉じました。

次回は平成28年6月26日(日)、同じ県民ホール小ホールで第6回演奏会を開催することに決まりました。どうぞご期待ください。


「天景」作曲者・橋本 剛さんからコメント

橋本です。今日のご盛会、おめでとうございました。私の回りのお客様がた(全体的にお客層が品よく感じられたのは気のせいではないはず…)が沢山話しかけて下さり、拙作を誉めて下さいました。演奏の賜物です!重ねてお礼申し上げます。

特筆すべきと思ったのは、パートの音量バランスです。男声合唱は特にメロディパートが内声に潜り込んでしまいやすいのに、本日の演奏は実にすっきりと聴きやすく強弱を加減されていました。1音1音のふくよかさも感じられ、特に第一ステージの隅々まで行き届いた演奏は驚きでした。拍手!!

ピアニストも素晴らしい。全身で音を調えていらした。是非ご紹介下さい!最後のステージはどの曲も魅力的。原曲も、編曲も。是非楽譜をお借りしたく。同時に、これまでご指導されてきた先生の作品も聞いてみたいです。

そして拙作のステージ。これも見事!特に「浜の足跡」は、合唱団が水を得た魚のようにきらきらと輝きだしたのが印象的でした。

今回の演奏会で、ああ、やっぱり男声合唱は良いなあ!と再確認です。また、そういう魅力を広く伝えることのできる、価値あるご活動をされていると思いました。今後も是非交流があれば嬉しく思いました。

どうぞ皆様に宜しくお伝えください。


ピアノ伴奏 田中理恵さんのコメント


田中理恵

男声合唱団羅漢の演奏会。

素晴らしいハーモニー♪♪に始まり

集中力あり実力あり笑いありの羅漢の皆様と会場に温かい雰囲気を醸し出してくださったお客様と、素敵な時間を共有させていただきました。

会場は、ほぼ満席、感謝です!

カデンツァは、一つのテーマを広げる技量がまだまだでしたが、今の自分には最高のものができました!


演奏会終了後のロビー

写真撮影:太田 誠君のお嬢さん(写真家・マスカルロブソン 万紀子さん)

編集部注協奏曲のカデンツァ(カデンツ)では、オーケストラはお休みして独奏者の即興演奏が行われます。ともとのカデンツァという言葉は終止形の和音進行を指します。たとえば、T⇒W⇒T⇒X⇒Tなど。協奏曲の即興的独奏部分については「カデンツァ」が使われることが多いのでこう呼ばれます。独奏者の独断を許したくない後期のモーツアルトやベートーヴェンは譜面を書いて縛り付けています。

20世紀の初頭からアメリカで生まれたJazzは即興演奏(ad.lib / improvisation)が盛んに行われました。即興性がJazzの特徴であるとか条件であるとか考える人もいます。ガーシュインが"Raphsody in Blue"を初演したときの話です。この曲の中にはピアノのソロの部分があるのですが、用意された譜面のソロの部分は「白紙」だったということです。即興演奏で初めてのジャズ・コンサートをやったのです。

1930年代から40年代半ばまでのSwing時代には、アドリブとはメロディに装飾音を付けたり、フレーズに変化を加えたりするものでした。40年代半ばにはBe Bopの時代が始まりました。バップのアドリブはメロディに意識はなく、そのコード(和音)の中で自由にアドリブを行いました。斬新なものでした。それが60年代半ばに、フリージャズ革命の兆しといわれるOctober Revolutionという一連のコンサートがありました。O.コールマンはコードからの開放という即興概念を試み、半世紀も時代を先取りしたという称賛と同時に非難の的ともなったのです。後に音楽理論“ハーモロディクス”なるものを唱えるのですが、普通の人間には意味不明!!音楽理論など何も無い。ただ、テンポだけ合わせて勝手に合奏すると音楽になるという。皆さんから見たら、新興宗教みたいなものか?(1015/6/26・かっぱ)