その他の趣味・同好会

「東京スコラ・カントールム」/「聖グレゴリオの家」
創立30周年記念公演

編集部(小笹和彦)

● 楽友会はもともと教会音楽をメイン・レパートリーとしていたため、かなりの数のキリスト者とその共感者がおりました。初期の翁島合宿では、自由時間になるとあちこちで色々なグループが様々なレクリエーションに打ち興じたものですが、このグループは天鏡閣という、星がよく見える展望台に集まり、聖書輪読や祈祷会をしたものです。

▼ 創始者の岡田先生は高校の「カトリック栄頌会」の部長も兼務しておられたし、女子校の故渡邉先生は、厳父が有名な長与善郎という「青銅の基督」の著者で、筋金入りの明治のキリスト者でしたから、両先生ともこうした活動には理解を示してくださいました。

● そうした土壌から芽生えたのが「東京スコラ・カントールム」という教会音楽専門の合唱団です。それが創立30年を祝う、というので感無量です(この間、34名の楽友三田会員が活動に参加しています)。バッハの教会カンタータを中心に、古今東西の教会音楽をメインに据えた地味な合唱団です。祈りと奉仕の精神が、神に嘉されたものとしか思えません。この団体は、プロテスタントやカトリックといった教派はもちろん、宗教、学閥、国籍その他何ものにも囚われない、すべての教会音楽愛好者の集いです。

● 一方、今回合同で演奏する「カペラ・グレゴリアーナ」は、東久留米市にある「聖グレゴリオの家」という、有名な故ゲレオン・ゴールドマン神父が創設された宗教音楽研究所に属する伝統的なカトリック「聖歌隊」です。こちらも創立30年を閲してその洗練度を増し、殆どが日本語聖歌しか歌えなくなった現代日本のカトリック教会の中で、今もラテン語グレゴリオ聖歌でミサ典礼に奉仕し、教会音楽の宝庫を現代に伝える貴重な存在となっています。

● 指揮・指導陣がまたまた素晴らしい。特に「東京スコラ・カントールム」の指揮者・青木洋也氏は教会音楽家として出色の人材です。まだ30代の若さですが、それだけに元気いっぱいバッハ・コレギウム・ジャパンや国際舞台で大活躍しておられます。その名カウンター・テナーとしての歌唱力、東京少年少女合唱隊員として幼少の頃から培った合唱体験、東京芸大・古楽科やエリザベト音楽大学で宗教音楽を専攻された高度な芸術的識見は、その円満な人柄や指導力と相まって、余人をもって代えがたい魅力です。日本にも、こうした逸材が育ってきたことを思うと、これまた感無量です。

▼ 「東京スコラ・カントールム」が昨年10月に第50回定期演奏会を記念し、この青木さんの指揮で、東京少年少女合唱隊と共に上演したJ. Rutterの「子供のためのミサ」曲は、世界中どこに出しても恥ずかしくない名演でした。

● 筆者はこれらすべての人と交わり、それぞれの組織の創設に関わり、共に祈り、学び、奉仕し、信仰の証しとしての歌を精魂傾けて歌ってこられたことを、生涯最大の喜びとして感謝しています。残念ながら、今はもう一緒に活動できないものの、心は楽友会時代から一緒に活動してきた、故海外発子(9期)さんや、実の兄弟以上に親しくしてきた杉原泰雄(11期)君と同様、陰ながらこの創立30周年を祝います。

● そして病床の杉原君の分まで、がんばって歌い続ける洋子夫人(12期)他、今回出演する渡辺みつほ(4期)、斎藤成八郎(5期)、池田龍亮・淑子(11・13期)、伴博資(11期)、福井良太郎(12期)、浅海直之・栄子(共に13期)、川西万季(15期)、市田正英(20期)の楽友三田会仲間と、わが糟糠の妻・小笹絢を含む楽友会以外の多くの同好の士に、心からのエールを送りたいと思います。

● ここにはメッセージ性に富むチラシ裏面だけを掲げますが、演奏会の概要は次の通りです。詳細については編者宛にお問い合わせください。

   日時: 2009年5月10日(日) 18時開演

   場所: 新宿文化センター

   曲目: F. Mendelssohn:詩編歌と讃歌4曲+J. S. Bach:モテット1曲その他