リレー随筆コーナー
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初めて歌ったゴスペルは、アカペラのAmazing Grace(これは、よく歌われるが、あまり歌われていない方の曲)。涙が出るほど、美しい。Y音楽教室では、「ゴスペル ナイト」というコンサートが、2年に一度開かれ、関東一円のゴスペルクラスが、いくつか合同で、200人位のステージで3曲歌う。ときには、ダンスや振りもある。とにかく自由に歌う。
私のクラスの先生は、東京と横浜に数クラスの生徒を持っているので、このすべてが集合すると相当な数になる。それで、ときには、Y音楽教室を離れて、自主コンサートも行った。全17曲程度。ほとんど英語なので、歌詞を覚えるのは、還暦を迎えようという年齢には、なかなかつらいものがあった。このクラスから、ときには、老人ホームのクリスマスに歌いに行ったり、地域のイベントに参加したり、結婚式に呼ばれたり・・・、結構、お呼びがかかる。 また、一昨年は、ニューヨークのカーネギー ホールと教会でゴスペルを歌う、というツアーに参加した。これは、色々なクワイア(ゴスペル音楽の合唱団)に属する人々が、この企画だけに集まって、練習をし、本番を行い、解散というものだ。「カーネギー ホールで歌う」こと自体は、正直、私には、別段の感激も驚きもなかった。が、Convent Avenue Baptist Church(教会)での礼拝に、地域の人々(多くは黒人)と一緒に出席して、ゲストとしてゴスペルを歌い、一緒に「ハレルヤ」を歌ったのは一生の思い出だ。また、この教会のオルガニストの演奏が素晴らしかった。「また、聴きたい」といったら、「また、来なさい」と単純明快な答えだった。 カーネギーホールで一緒に歌った仲間とは、今でもつながっていて、年に一度は〇〇ゴスペル祭に参加したりしている。 今まで歌った中で好きなゴスペル ソングは”I'm Available to You”、”From a Distance”、”Total Praise”等である。 また、クリスマスシーズンに歌う”O Come All Ye Faithful”については、今のところ、私にとって、アメリカの6人組の男性コーラス・グループ「TAKE 6」が歌うのが最高である。いつか、彼らの生の”O Come All Ye Faithful”を聞きたいと思っている。 以上 (2015/4/29) リレーのバトンは22期の博多信子さんが受け取ってくれました。(2015/5/9) 博多さんのお父さんが亡くなり、執筆は落ち着くまで猶予です。(編集部) ■ ■ ■ ■ ■ |
編集部注 樋口さんのエッセーを読んで「Amazing Graceってジョン・ニュートンの書いた讃美歌で、ゴスペル・ソングとは違うんじゃないの?」とメールしてきた読者がいます。彼の指摘は間違いありません。"Faith's Review and Expectation"(信仰の反省と期待)という原題で、「オウルニィの讃美歌集」(1779年)の第1巻の41番目の曲として収録されています。 しかし、イギリスで讃美歌として生まれた歌ではありますが、育ちはアメリカ南部の黒人社会で、アメリカで有名になったゴスペル・ソングなのです。ゴスペルの源流はメソジスト讃美歌なのです。アイルランドからの移民がアメリカにもたらし、年月をかけてミシシッピを下ってニューオリンズにたどり着き、黒人奴隷たちの心に深く住み着いた福音歌だったのです。黒人奴隷たちは心の救いを黒人霊歌・ゴスペルに求めました。日頃の悲しみはブルースになりました。 ゴスペル・ソングが生まれ盛んになってきたのは1930年以降である。ブルースの作曲家だったトーマス・ドーシーが黒人霊歌の延長にパフォーマンス・バージョンとしての「ゴスペル・ソング」を生み出し、ゴスペルの父と呼ばれる。日本では、それから60年も経って、亀渕友香がゴスペルを歌いだした。ついこの間のことだ。 ”Amazing Grace”はゴスペル・シンガーのマヘリア・ジャクソンが1947年に初めてレコーディングしアメリカ中に広まりました。さらに、1972年に同じくゴスペル・シンガー、アレサ・フランクリンがアルバム「Amazing Grace」を出し、黒人クワイヤが”Amazing Grace”を盛んに歌うようになりました。 ”Amazing Grace”の譜面を見たことがある方がたくさんいると思います。きれいな歌や演奏を聞いた方も大勢いると思います。実際、日本でよく聴かれた”Amazing Grace”はギリシャ人のナナ・ムスクーリの美しい歌でした。テレビCMでもよく流れたし、中野サンプラザでも歌ったのではないでしょうか。多分、世界中に出回ったのは彼女のレコードだと思います。面白いことに、Jazz Standardの歌本「JAZZ Fakebook」に入っています。
このソングブックでは作者の名前が無く、Traditionalとなっています。全音楽譜出版社の「ポピュラーソングのすべて 1001」にも入っています。ここでは、John Newton作詞作曲と書いてあります。
この譜面を見て「あれっ、よく聴きなれたメロディと違う」と思いませんか、一般に流れてきたメロディはこんなのではなかったでしょうか。
しかし、マヘリア・ジャクソンやアレサ・フランクリンのゴスペル・バージョンを聞いたら多くの楽友には、真似も出来ない、世界の違う歌唱です。興味のある方は聞いてみてください。ビックリします。
全世界には数知れぬほどゴスペル・クワイヤがあり、それぞれが熱狂的な”Amazing Grace”を聞かせます。これはその1つで、南アフリカのクワイヤです。
もう1つ聴いていただきたい人がいます。まだ、去年還暦を迎えたDiane Shuurという盲目のジャズ歌手です。3オクターブを歌うことでも有名です。ジャズの世界では古い人間が多く若い世代でした。まだまだと思っていたのですが、私が作成した「年齢番付」で久しぶりに見たら61歳で十両の幕尻です。
しかし、楽友の皆さんに一番受け入れられる美しい”Amazing Grace”は私見ですが、アイルランドのCeltic Womanという女声コーラスです。You Tubeでも2000万人を超す人がアクセスしているんですよ。ご存知でしたか?この歌が生まれ故郷に帰ったのです。
この歌にまつわる話は面白いものがあり、切がありません。(2015/5/11・かっぱ) |
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