リレー随筆コーナー

須藤フォトヒストリーの回想とこれから


須藤 武美
9期)


高校時代、猫も杓子もカメラを持っている昨今とは異なり、カメラを持っている人は比較的限られていた。そんななか、学校の行事毎にカメラを持ち歩いては写真を撮り捲っていた私。友人達からは「君は写真大学を受験するんだろ」と良く言われていた。

そんな友人達の予想に反し、慶大へ入学し、楽友会へ入会した私は、引き続き写真撮影に力を注ぐ事になった。今までにフォトヒストリーへ提供させて頂いた写真は、在学中のものが約600枚、OBになってからのものが約200枚、合計約800枚と自分でも驚くような膨大な数となった。

在学時代のカメラは、オートマチック機能が完備している現在のものとは全く異なり、露出(絞り、シャッタースピード)、距離(フォーカス)など全てマニュアル。すなわち、全てが自分の勘と経験に頼るしかなかった。しかもレンズは標準レンズ(50mm位)1本のみで、ズームレンズなども存在しなかった。当時使用していたカメラは、多分アサヒペンタックスとオリンパスペンであったと思う。これらのカメラも現在の様なフイルムの自動巻上げではなく、1回シャッターを切る毎に自らレバーでフイルムを巻き上げるものであった。

楽友会への入会当初からカメラを常時持ち歩き、昼休みは勿論、あらゆる行事毎に撮影した。記念写真のように人を並べてハイチーズではなく、皆様の動きの中から本来の自然な素顔を捉え、笑い声が聞こえてくるような写真、会話が聞こえてくるような写真を、そして、記録として残るよう、いつも全員が写真に登場するように心掛けていた。人物のクローズアップ撮影など、標準レンズのみでよくぞ図々しく接近して撮影できたものだと自分でも感心している。

ハイキングの写真をご覧になるとお分かりの通り、当時は学生服に学生帽姿の超真面目(?)な人もかなりいたのが目に付く。また、合宿の朝の体操をしている写真を見ると、下駄履き姿も散見されるなど時代を感じずるにいられない。

OBになってからは撮る機会も少なくなったものの、昭和45年新年会の写真は、ネガの保存状態が極めて良好で素晴らしい写真が多かったと自負している。

平成4年2月9日、帝国ホテルで開催された岡田忠彦先生ご退任記念パーティーの時も沢山の写真をお撮りし、先生にはアルバムを作成して差し上げているが、肝心のネガが行方不明になっている。もしかして楽友三田会事務局でネガを保存されている可能性も皆無ではないと思っている。事務局関係者の方は念のため、一度保管書類等をチェックして頂きたい。因みに楽友三田会会報第22号(平成4年5月発行)岡田忠彦先生ご退任記念パーティー特集号掲載の写真は私が撮影したものである。

万一このネガが発見されれば、またフォトヒストリーの一項目として掲載することができるので、発見されることを切に願っている。

さて、現在はデジカメ時代。フイルムのカメラとは異なり、誰でも惜しげなく、気軽に写真が撮れるようになった。しかも暗い室内でも良く写るのには感心する。

カメラ歴57年の私は、フイルムのカメラからなかなか脱することができず現在に至っていた。7年前に買ったデジカメを一度も使用することなく戸棚に眠らせていた。今年4月になって、今の時代に乗り遅れないようデジカメへの挑戦を決意。手始めに三田サロン皇居お花見会で使用してみることにした。使用してみて最も感じたことは枚数(残数)を気にしないで撮影できること。フイルムの場合は残り何枚、どこのタイミング(撮影のチャンスと場所)でフイルムを入れ替えようかが問題であった。

今回のデジカメ初挑戦は、フイルムのカメラ撮影の感覚(残りあと何枚)から抜けきれず、撮るべき所でパスしたりして充分撮影できなかったことを反省している。

今回の反省を踏まえ、これからはデジカメの特長を活かし、より良い写真をより多く撮影し、皆様にご披露できるよう研鑽を積み重ねたいと思っている。(2014/4/22)



    


編集部より 
すでに楽友の皆さんには「須藤写真館」という名前はご存知の方ばかりかと思います。2013年2月に「1960年5月から楽友会の諸々を撮影した古いネガが出てきた」と手始めに200枚の写真を選び出し、一枚一枚丹念にデジタルファイルに変換してSDカードに保存し編集部の若山まで送ってくれた。劣化したり変色したりしている。真っ白けになった写真もある。一枚ずつ、編集部で元通りとはいかないが、復元を試みた。

何とも懐かしくて涙が出そうになった。「楽友フォトギャラリー」というページを開設し、「須藤フォトヒストリー」を公開した。1960年代に楽友生活を共にした人たちには美しい郷愁に浸ってもらえたことと思う。「かっぱぁ、須藤の写真は懐かしい!感動ものだ!」とメールが寄せられた。

今はデジタル時代、懐かしい古写真はネット上で誰もが共有して見られるようになってしまった。昔の須藤写真館はすべての写真を焼き増しして仲間に配ってくれたのだった。そういう写真が私の手許にたくさん残っていた。どれだけ「楽友」の制作に役立ったやら口では言い表せない。

「須藤フォトヒストリー」「江ノ電絵はがき」をご覧になっていない方には、この機会に是非お立ち寄りください。(編集部かっぱ)

⇒ 須藤フォトヒストリー    ⇒ 江ノ電絵はがき