リレー随筆コーナー

「かめの泉」〜"あなたと私の待合所"
訪ねてみませんか?


土井承夫(24期)


倉吉福祉センターから徒歩1分の所に「あなたと私の待合所」、通称「かめの泉」という古民家を利用した交流ひろばがある。亀は勿論、「長寿」をイメージさせる動物だが、ここが高齢化率の高い明倫・成徳地区の住民が気軽に集い、お互いに支え合う住民サロンとなっている。毎週月・水・金曜日の午前10時から午後3時まで開館しており誰でも立ち寄れる。料金もただ同然だ。

2018年からこのサロンを運営しているのが、泣く子も黙る前鳥取県母子寡婦福祉連合会理事長の枠島和江さんだ。80歳に喃々(なんなん)とする年齢からは想像もできないバイタリテイーと世界標準のスピード感覚を兼ね備えた国際派である。エリザベス女王陛下の演説文の英語を見て即座に「ビー・エイブル・トゥーはキャン(できる)の意味!」と言い放って周囲の度肝を抜く。自身若くして交通事故で夫を失ったが、歯を喰いしばって一人で4人の年子(としご)を育て上げた。そんじょそこらの根性話とはレベルが違う(現代の医学では年子は3人までと言うのが通説)。これは、ひょっとしたらギネスに載るような話かもしれない。


<ウィーンには似合わない枠島代表のおはこ「どじょうすくい」>

私と枠島さんとの出会いはたまたまある鳥取市での会合の帰りに、倉吉行き普通列車に対面で乗り合わせた事による。その倉吉までの30分間に次々と話がはずみ、国境を取り払った国内外の様々な話題を雪崩の如くチャットしまくり終点倉吉では年の差を超えて意気投合したのであった。それ以来、本来の公民館の仕事は片手間にとどめ、この「かめの泉」通いに力を割く事になる。


<ピアノ弾き語りでビー トルズを演奏する筆者>
(東京・赤坂の某クラブ)
〜2019年9月〜

今では、月に一回不遜ながらも人生の先輩方の為に「コーラスの指導」と「学校では教えないワンポイント英語講座」の二つの授業を受け持っている(二つで約1時間の講座です。試験も何もありません)。実はこのサロンの集まりは 通称「ウイーンの森の音読・コーラスの会」と独善的に命名しており日頃の練習成果を以て、生涯のうちに必ず今のメンバーで音楽の都、オーストリアのウイーンを訪問して「ウイーン楽友協会大ホール」で演奏する事を目指している。ここは毎年正月に全世界にテレビ中継される「ウイーンフィル・ニューイヤーコンサート」の舞台でもある。

何をアホな事と一笑される向きもあろうが、人生百戦錬磨、様々な苦楽を乗り越えてきた我々同志にはこのくらいの目標があってもおかしくないと自負している。世の中に初めから不可能などという事柄はないと思うし、その位の大志がなければ今のコロナも吹っ飛ばしきれないと思う。さあ、読者のみなさま、おついでの折にでも騙されたと思って一度立ち寄ってみませんか?待っとるジェー!!

(2020/10/11

    


編集部 ヨッさんから原稿が送られてきました。ホントに忙しい鳥取県倉吉市福庭自治公民館館長です。このヨッさんの写真は、かっぱがマヌエラに連れて行った時に撮ったものです。今、丁度"Let It Be"を弾き語りしているところです。

80年代後半から90年の前後、毎年大晦日にウィーン・フィルのコンサートが東京でありました。かっぱが行きつけだった今は無き南青山のJazz Bar「Ari's Lamp Light」に、コンサートを終えたばかりのウィーン・フィルのお歴々が集まってきたものです。ヨーロッパのクラシック演奏家たちがアメリカン・ジャズを好んでいたとは驚きでした。一緒に飲んで騒いで新年を迎えるのが恒例となっていました。とおに忘れ去っていた30年前の思い出が蘇りました。

(2020/10/11・かっぱ)


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