Editor's note 2020/11

「想い出のサンフランシスコ」夜話

”I Left My Heart In San Francisco”という歌があるのをご存知だと思います。

 この歌の誕生話


Ralph and Tony

1961年の暮、トニー・ベネットがサンフランシスコのフェアーモント・ホテルのベネチアン・ルームに出演する時、専属ピアニスト兼音楽監督のラルフ・シャロンが.”I Left My Heart In San Francisco”を歌わせました。

翌62年1月にレコーディング、2月にリリースし、トニー・ベネット初のグラミー賞となりました。


George Cory and Douglass Cross

この歌は、1953年、作曲George Cory(1920-1978)と作詞Douglass Cross(1920-1975)によって、オペラ歌手Claramae Turnerに捧げて書かれた歌でした。それは、彼女がサンフランシスコ生まれで、NYにいてSFに帰りたい気持ちになる。更に作者2人ともSF出身でNYに居てホームシックになる。その気持ちを歌にしたのです。

わたしがClaramae Turnerを知ったのは、ミュージカル「回転木馬」で歌われた”You Never Walk Alone”でした。

21年前、OZ SONSが1999年のスリーグレイセス・コンサートにゲスト出演したとき、この歌をグレイセスとの混声コーラスで歌ったのです。いい思い出になっています。

「回転木馬」は映画にもなりましたが、Claramae Turnerにとって唯一の映画出演となりました。

という訳で、彼女は1954年以降、自分のリサイタルのアンコールで”I Left My Heart In San Francisco”を歌うようになったのです。

最初に歌い出したのはトニー・ベネットではありません。

しかし、Claramae Turnerはクラシックの歌手で、この歌はレコーディングはしていないのです。

 

https://youtu.be/_JB80AiwBGk

驚くなかれ、2019年暮にYoutubeに上げられたばかりのClaramae Turnerによる「想い出のサンフランシスコ」です。殊勝にも、あるオペラ・ファンが上げてくれたのを見つけてしまいました。

 2番の歌詞があるのをご存知か?


Carmen McRrae In Person

カーメンが歌う”I Left My Heart In San Francisco”の2番の歌詞の話が再燃しました。

1990年ころに、このレコードを聴いて飛びつき、誰も歌わない2番の歌詞を聞き取り、譜面を起こしました。テレ朝通りDOMINANTで歌い始めました。

誰もがこの歌を唄いました。が、すべてトニー・ベネットが手本でした。伴奏する人たちもあのスタイルの伴奏です。まるで、何とかのひとつ憶えです。マヌエラの店主もそのスタイルです。それに、一回り先輩の長老、大伴 昭氏の持ち歌だったので、わたしはマヌエラでは歌っていません。大伴さんはワグネル男声の出身で、かつては六本木男声合唱団のメンバーでした。両家で会食もよくしました。

カーメンの歌はトニー・ベネットの何十倍も面白いのです。2番の歌詞を歌うのはカーメンしか居ません。おそらく、カーメンが書いたものに違いありません。カーメン大好き人間には、こたえられません。

現在では、YouTubeに出ています。聴いてみてください。

 

I Left My Heart In San Francisco
Douglass Cross & George Cory, 1953
Sung by Carmen McRae

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The loveliness of Paris seems somehow sadly and gay.
The glory that was Rome, is of another day.
I’ve been terribly alone and forgotten in Manhattan.
I’m going home to my city by the bay.

I left my heart in San Francisco.
High on a hill, it calls to me.
To be where little cable cars climb half way to the stars!
The morning fog may chill the air; but I tell you I don't care!

My love waits there in San Francisco,
above the blue and windy sea.
When I come home to you, San Francisco,
your golden sun will shine for me!

I took a trip left San Francisco,
to see the world having my dream.
It seems now I can't hardly wait to cross the Golden Gate.
The only place my heart feels free. (And I tell you that's thee.)

I'm going back to water square called Frisco.
And from now on that's where I'll be.
And I don't care where you and you, and you go.
For, San Francisco's town to me.

And I don't care, I don't care, I don't care
where you and you, and you and you, and you go.
For, San Francisco's town to me.

2番の歌詞の話が再燃したという話は、20年前に書いたページを見た「ジャズにまつわる話」の読者が、2番の歌詞をDictationしたと、書き取った歌詞を送って来たのです。20年前のページには「2番の歌詞」は掲載していないのです。

そこで、2人の2番の歌詞を突き合わせ、改めて改訂したのが上の歌詞です。よく書けていると思いますが、間違いがないと断言は出来ません。気が付かれた箇所があったら教えてください。

 譜 面


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