Editor's note 2020/4

 ついに緊急事態宣言が先程出されました。皆さん、しばらくは活動・移動を停止し、コロナ騒動の終息を待ちましょう。とりあえず、今日から1か月間、5月6日までとのことです。


4/7(火) 17:48

 コロナウィルスの猛威に世界中が震えあがっています。連日連夜、テレビのニュースやバラエティ番組では、「コロナ騒ぎ」一色です。ドリフターズの志村けんの死亡報道に日本中が驚かされています。

アメリカでも酷いことになっているらしく、ギター弾き語りで有名なジョン・ピザレリの父親、94歳のBucky Pizzarelliの訃報がNew York Timesに出ています。

4月1日に何と新型コロナウィルスに感染して亡くなったそうです。R.I.P.

Bucky Pizzarelli, Master of the Jazz Guitar, Is Dead at 94

He became a mainstay of the New York jazz scene, often performing with his celebrated son John. He died of the coronavirus.

The guitarist Bucky Pizzarelli with the bassist Jerry Bruno in 2011. He was among the few guitarists of his day to play an instrument with seven strings rather than the customary six. Credit...Susan Stava for The New York Times.


 ピザレリ親子はイタリア系アメリカ人だが、ご先祖は「ピッツァ売り」だったのでしょうか。お父さんのBucky(1926-2020) は7弦ジャズギターを発明して有名になりました。ジョンが10代の頃から親子でライブをしていたといいます。1980年には「2×7」という7弦ギター2台の親子デュオ・レコードがあります。


John and Bucky Pizzarelli

ジョンが2009年に来日した時、聴きに行ったのを思い出します。 

血を引いているのです。ピザレリ一流のギターのアドリブとスキャットには舌を巻くしかありません。スピードと音域の広さでたまげさせるのとは対照的に、ソフトで力まない歌がまた最高なのです。ファンが多いわけです。

ビートルズナンバーが完全にジャズに昇華されています。「なるほど〜」と唸るのみです。

こういう歌手のライブは、古典落語の噺家の高座に通ずるものがあります。

スタジオ録音されたレコードやCDとは、まったく違って聞こえます。まだまだ、彼は若い(今年還暦)ですから日本に来続けて唄い続けることでしょう。また、見に行きたくなる、聴きに行きたくなる、そういう本当のアーティストなんだろうと思います。歌はさらにさらに円熟の境地に入っていくものと確信します。シナトラとはまた違ったカラーで大歌手に仲間入りしてくるに違いありません。

この夜もサービス満点でたくさん唄いましたが、圧巻だったのは”Hit That Jive Jack!”でした。古くはNat King Coleが、私の歩き出した頃にレコードを出しています。山本五十六、真珠湾攻撃の2ヵ月くらい前のことです。

圧巻だったというのは、スキャットとギターがあったからです。調子がよくて面白そうな歌なのですが、昔から何故か私には平凡に聞こえる歌でした。自分で唄おうとは思わなかった歌のひとつです。しかし、ピザレリは歌と半端ではないギターとスキャットの「三つ揃い」です。まことに強い武器を持ったユニークな歌手です。脱帽です。

Hit That Jive, Jack

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(2020/4/7・かっぱ)


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