Editor's note 2012/7

ヤマボウシ(山法師)

 つい最近「ヤマボウシ(山法師)」という花を知った。近所の公園で散歩していて、フト上を見たらこの花が咲いていた。梅雨時の花といえばアジサイ(紫陽花)と思っていたが<こんな見事な花もあった!>と感嘆した。高さ3〜5m位の木に咲く花で、一輪の大きさは掌くらい。かなり大きな、雨に濡れた4枚の白い花弁が、クッキリとした十字架形を示して清々しい。75歳のこの年まで、こんな立派な木花のことも知らなかったとは!何かとても大事なものを見落としていたような気がした。今月のノートはAKGCがらみのエピソードで埋まるだろう。
 

 学校行事と重なったとかで、淡いグレーの制服に身を包んだ「麗しのサブリナ」たちの姿はなかったけれど、初の「オール高校楽友会員たちの合唱祭(AKGC)」では、たくさんの新たな発見があった。練習に参加し、ステージで歌えばもっと色々なことに気づいたのだろうが体調の関係でそうもいかず、客席に身を潜めてあれこれと思いを巡らせた。感想を一言でいえば<やはり高校楽友会の存在は大きい>ということである。当然のことながら<その出身者たちは、大学の楽友会にストレートに進もうがそうでなかろうが、とても大切な楽友会人であることに変わりはない>、ということでもある。

 小西みはるさん(32期)が「鳥肌立つ」思いで聞き惚れたスペシャル・ゲストのjammin' Zebの演奏に、私は全盛期のダーク・ダックスを観た。もちろん約半世紀の年代差があるから種々大きな違いがある。

だがジャズからJ-popそしてクラシックその他の広範なレパートリを歌いまわす技量や選曲に<やはり血は争えない>と感じ入った。それもそのはず、4名中2名は塾員で1人はワグネルの学生指揮者であった仲光 甫(芸名:Steve)さん、もう1人は西脇史門(芸名:Simon)さんという高校楽友会(42期)のOBであった。ちなみにシモンさんはAKGCの同年代ステージにもFUTURES COME TRUEの一員として登場し「包容力抜群のベース」として歌っていた。大学は経済に進んだが楽友会にもワグネルにも属さず、在学中からジャズ・コーラスに入れあげていたという典型的KEIOボーイ?既に6枚のCDをリリースし、意気軒昂たるjammin' Zebの一員。正に、男声カルテット界のホープである。

⇒ http://jamminzeb.com/

 竹中一夫さん(17期)は「水のいのち(作詩:高野喜久雄/作曲:田三郎)」に篤い思いを抱いていた。私も田作品には深い思い入れがある。もっとも私の場合は故・伴有雄さんへの想いと重なる。私が高2で伴さんが大学2年の頃。伴さんは田先生に師事しており、そのご縁で「春」・「風」・「梢」の3曲を高校の日吉祭で演奏することになった。するとある日、伴さんは「これも練習の一だ」と言って私を田先生のお宅に伴われた。そこで私はあのギョロ目のオッカナイ伴先輩が、額に汗かきながら先生の前でかしこまり、ひたすら「はい、はい」と教えを賜わっている光景を目にすることができた。片隅で縮こまり、ひたすらノートをとるばかりであったが、あの時の緊迫した雰囲気は忘れられない。田先生が途方もなく偉く、怖い方に思えた。そのせいか、今でも教会のミサで典礼聖歌を歌う時には、思はず畏まってしまう。

 その「水のいのち」を指揮した近藤大介さん(MJK48)が、上記の竹中さんや伴博資さん(11期)から絶賛を博した。いつもは辛口の両氏が賛辞を寄せたのは、その指揮によほど感動したからだろう。それを読んで私まで嬉しくなった。近藤さんを「わが友」と思っているからだ。というのは・・・。高校楽友会出身者の集う「忠友会」メンバーが主となって開いた、現役高校生や楽友三田会員も相集う最初の「懇親会(10年10月)」で、私は初対面の人物から「私は高校楽友会19期(楽友三田会32期相当)の近藤大介です。今日は井上清先生(楽友三田会4期・以下オキヨ)とお会いできると思っていましたが・・・どうか、よろしくお伝えください」と挨拶された。早速その旨オキヨに伝えると「オゥオゥ、彼が私に会いたいとは嬉しい限り。実はね、彼の親父とは幼稚舎時代からの長いつきあい。学校卒業後も幼稚舎の教諭と校医という関係で家族同士の交わりに発展した。だから大介が子どもの頃のことはよく覚えている。だが、その後は彼も楽友会に入ったという噂くらいしか聞いていない。ぜひ会ってみたいねー」ということ。そこでご両人は、間もなく開催されたOSFの第2回ファミリー・コンサートで感激の再会を果たした。・・・というわけで友の友は「わが友」というわけである。


スイレン(睡蓮)

 そしてもう1人、伴・竹中両君が絶賛したのがピアノの金井信さん(高校楽友会11期)のこと。第2部の殆どのステージに登場し、際立つピアニズムで各グループの演奏を引き立てておられたが、少しもプロとしてのスタンド・プレーはなく、あくまでも旧友たちの黒子に徹して演奏された様子に心なごんだ。塾高卒業後は楽友会にもワグネルにも属さずに哲学を専攻して卒業。その後は芸大の声楽科から尚美の作曲科へと転進を続け、マルチ・タレントの音楽家として研鑽を積まれた。その広範で多彩な活動はとうていこの限られたスペースでは書き尽くせないが、楽友会の皆さんなら林光・小林亜星両先輩を足して2で割ったような人物、と書けばイメージが伝わるだろう。何れにしても、久しぶりに知った異能の楽友会人の登場であった。 

⇒ http://homepage2.nifty.com/duo/topia.html

 須田和宏さん(高校楽友会15期)のこともこの機会にぜひ特記しておきたい。大学ではワグネルで学生指揮者を務めて合唱音楽のとりことなり、卒業後もアマチュア合唱団の育成や広範な合唱曲種の作・編曲と手がけてその道のプロとなられた。3年ほど前にヒョンなことからOSFで須田さんの編曲された「千の風になって」の男声合唱版をお借りしたのが縁で、「忠友会」および「高校楽友会」との縁もつながった、これは実に貴重な出会いであった。今回はThe Gold Blendsのバスとして、旧友たちと一緒に歌う姿を拝見したが、さすが34年も歌い続けてきた男声カルテットだけあって、何とも温かみのあるハーモニーを醸し出していた。それを聴きながら私は、個人的には、ぜひこの須田さんが高校時代に岡田先生に指揮法を師事された経験を生かし、高校楽友会の面倒も見てほしいし、近い将来、日本の合唱界を担う存在として故・関屋晋氏の後を継ぐ存在になっていただきいと願うようになっていた。

⇒ http://music.geocities.jp/chorforest/intro.html

 最後に当日、大久保厚子さんと一緒に司会進行役を務めた亀井淳一さん(高校楽友会16期/楽友三田会29期)に祝詞を謹呈したい。先ずはAGFCの今年度不開催の穴を埋め、急遽、阿波田尚さん(高校楽友会13期/楽友三田会26期)との名コンビで当プロジェクトの実行委員会を組織し、周到な計画と準備、それに関係先との多種多様な折衝に献身的な努力を重ね、この高校楽友会初の合唱祭を大成功に導いてくれた貢献に、心からの敬意と感謝を捧げる。実に創立以来64年目の快挙であった。何もかもが自前の自主コンサートが盛大に行われるのを見て、岡田先生ご夫妻も感激のご様子であった。もちろん日高好男さん(高校楽友会1期/楽友三田会14期)他シニア・メンバーの積極的サポート、また女声の人員不足を補う筑紫秀子さん(高校楽友会・会友/楽友三田会4期)を始めとする多数のOGの合唱参加があってこその話ではあるが、もし亀井⇔阿波田コンビの楽友会活動に対する愛と情熱がなければ、これほどの成功は得られなかっただろう。聞けば、亀井さんのご子息は今春中等部から塾高に進み、楽友会に入部して現役ステージに登場されたとのこと。楽友会にとっては久しぶりの、父・息子二代にわたる親子会員の誕生であった。メデタシ、メデタシ!!!                      (オザサ・7月7日)

 ネット振り込め詐欺にご用心:振り込め詐欺などとは縁のないものと誰でもが思っていることでしょう。「オレオレ詐欺」はお年寄りの所に「オレオレ・・」と電話で振り込めといってくるものです。

それがついにインターネット・e-mailを使った「新手の振り込み詐欺」が目の前に登場しました。私の教え子の名前を騙った「振り込めメール」が来ました。最初に来たメールからお目にかけましょう。
 

From: "Tchixxxx@aol.com" tchixxxx@aol.com>
Subject: Sad News.........Kxxxxxxx Tchixxxx
To: undisclosed recipients: ;

Hello,

I'm writing this with great grievance . I'm presently in Madrid, Spain. with my Family for a short vacation and we're stuck...And really it was unannounced. We were attacked by four armed robbers on our way back to the hotel where we lodged.we were robbed and completely embarrassed.All our cash,credit cards and cellphone were stolen.

We've reported the incident to the embassy and the Police but to my dismay they seem not bothered...their response was just too casual. Our flight leaves in few hours but We've got to settle our bills before We're allowed to leave....Now am freaked out....Please I need you to loan some money,I promise to refund you as soon as I'm back home. All i need is $2,650 .. Please Let me know what you can do? Write me back so I can tell you how to get it to me..

Kxxxxxxx Tchixxxx
Directorate Ph.D
Tokyo Nxxxxxxxx Axxxxxxx Rxxxxxxx Center
Institute of Axxxxxxxxxxxxx Exxxxxxxxxx, Ltd.

Kxxxxxxx Tchixxxxとは実在する私のゼミの70年代の卒業生で、修士課程まで私のところにいましたが、その後、慶應の大学院理工学研究科の博士課程に進みました。

普段から私にメールをよこすのに英文で書いてくる変わった男なのです。そんなわけで、英文のメールが来ても別に奇異に思いません。名前のつづりを、普通はChixxxxと書くところを、彼は昔からTchixxxxと書きます。ですから、このメールの送信者は彼のことをよく知っているのか、彼の情報をどこからか盗んだものと思われます。

強盗に襲われて金もカードも取られて・・・2650ドル必要だ。送ってくれるかと書いて来ました。これは大変だと思いました。

しかし、宛先が私宛てではなくBCCになっているということは、あっちこっちにこのメールを送っているということです。こんな大事なことをBCCで送りつけるとは、Tchixxxxは一体何を考えているのかと疑います。
 

 何か怪しい?:メール発信者の詳細を見ると、

Date: Sat, 30 Jun 2012 10:36:35 -0700 (PDT)
From: "Tchixxxx@aol.com" <tchixxxx@aol.com>
Reply-To: tchixxxx@ymail.com
Subject: Sad News.........Kxxxxxxx Tchixxxx

メールの発信時間はアメリカ西海岸のPDT(Pacific Daylight Time)、日本では16時間進んでいるので7月1日午前2時36分です。どうやらアメリカ発らしい。マドリッドに来ているというのはインチキくさい!

メールの送信元はtchixxxx@ymail.comで、これは彼のアドレスではありません。Tchixxxxx@aol.comは彼が使っていたメールアドレスですが、あたかも本人であるかのように強調しています。ここまでくると「こいつは完全に詐欺だ」と確信しました。tchixxxxというメールアカウントをymail.comにご丁寧に用意しているのです。詐欺男は本人のメールアカウントのPasswordまでは盗めなかったようです。そこで、どんな仕掛けで金を手にするのかを知りたくなって、

「振込み先を教えろ」

と返信を出してやりました。すると、大喜びで次のメールが来ました。
 

Glad you replied back, i have nothing left on me right now and i am lucky to have my life and passport safe, Well all i need now is $2,650 you can have it wired to my name via Western Union i'll have to show my passport as ID to pick it up here and i promise to pay you back as soon as i get back home. Here's my info below.

Name:Kxxxxxxx Tchixxxx
Location: Calle de Atocha, 9
City: 28012 Madrid, Spain

As soon as it has been done, kindly get back to me with the money transfer control number(MTCN) to pick the money.Please let me know if you are heading to the Western Union outlet now?

Thanks
Kxxxxxxx

Western Unionから振り込め、そしてMoney Transfer Control Numberを送れといってきました。

 よし、本人ならば:彼には一人娘がいる。そこで、詐欺のおじちゃんに

「おい、Tchixxxx、君の娘の名前は?」

とメールをしてやった。これで諦めるかと思ったら、またメールが来た。よく頑張るやつだ。

Omg...,Are you kidding me??? i told you i lost my cell to the Mugger's and the hotel manager won't let me make use of any of the hotel stuffs not unless i sort my Bills..at this moment and really confused and don't know what to do, i only have access to email and if am not my SELF why would i ask you to get the money wired on my name..Thank God i still have my International Passport to Identify my self here before the cash would be paid to me...??Pls let me know how soon you can get the cash wired to me and if not so i can seek help else where..

Thanks for the help and Understanding

「からかっているのか???」と言って、娘の名前は書いてこない。泣き言をいっているが、やはり、本人ではない。最後通牒は、

「本物のTchixxxxは、今オーランドにいる。お前は誰だ?」

どう言ってくるだろう?・・・・翌日になった・・・・もう何も言ってこない。

    

「楽友」も満4年。5年目に入った。もっと面白い話題でも書こうと考えていたのに、変な詐欺の話になってしまいました。こんなことは誰にでもできそうなことです。案の定、すでに「日本バージョン」が飛んでいるようです。

Web Mailというのは誰にでも登録できる便利なツールですが、悪用するのも簡単です。自分の契約プロバイダーから発行されるメールを使っていれば、ほぼ本人と思ってもいいのかもしれませんが、Web Mailでは本人証明は危ういです。私の学生達は大学のメールは学内でしか利用できませんので、Web Mailを使っていました。

みなさん、くれぐれもご用心ください。(2012/7/7・かっぱ)