その後、問題の対象は「Urban Dynamics(都市ダイナミックス)」へと進み、やがて「World
Dynamics(世界ダイナミックス)」と呼ばれる地球規模のモデル解析へと進み、ローマクラブからの研究委託を受けて、フォレスターの弟子のDennis
Meadowsらが「世界モデル」のシミュレーションを実施しました。その後、「システム・ダイナミックス」として、この方法論が確立されていきます。
「世界モデル」のシミュレーション実験の前提としては、60年代の人口の増加率がそのまま進み、石油をはじめとするエネルギー資源は新たには開発されず、工業技術も革新されないといった仮定を置いていました。最悪の前提です。そうすると、人口増加により食糧不足となり、地球上はゴミだらけとなり破局が訪れるというものです。2010年から2020年にその破局が始まるという結果が出ました。
彼らは条件をいろいろと変えて実験を行ったのですが、いずれも2100年を待たずして人類は短期間のうちに急激な減少をまねくことが予測されました。
それから40年が過ぎました。この研究を行ったグループは、40年間の間には破滅のサイクルから抜け出る知恵や技術、国際的合意や政策の実現、人間社会のシステム変革がなされるだろうと期待していたのですが、それは楽観的過ぎたといっています。
確かに先進国では人口増加率は減少しましたし、環境破壊もある地域では改善されたかのように見えます。多摩川にもアユが上がってきました。しかし、蓄積された汚染は無くなったわけではありません。発展途上国ではどんどん工業化が進み、環境も悪化の一途をたどっているのです。
カタストロフィーは前ぶれもなく突然であるかのように起こります。
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