今年度の会計は何をしたらよいのかというと何をしても別に罰も受けず、また、何もしなくても構わないのである。それは今や200名からの団体である楽友会に「規約」なるものがなく、これといって会計係の仕事の範囲の限定はないからである。
会費だけ集めていれば良いようなもんだが、合宿費、楽譜代、新入生歓迎会費といった数々の名目で金を徴収するのだから並大抵の忙しさではなく、ついつけ落ちたりして、家へ帰って計算してみると金が多いことがこれまで2,3回あった。皆が締切日に殺到するからだ。(中略)
さて楽友会で一番忙しいのは会計係。楽友会で一番嫌われるのは会計係。そのトレードマークをつけ、これから守銭奴的な根性にならないと務まらないことは、会員諸君もお分かりのことと思う。「会費を今払えないので、こんど払います」などというタワ言を「アアそうですか」と聞いていたら会費はいつまでたっても集まらないだろう。会の財源は会員の支払う会費のみであるから、会員は会に籍を置いている以上、会費を払う義務があり、権利があり、資格があることをよく弁(わきま)えていてほしい。
先輩の中には、会費を一度も払わず、卒業してから取られている人もいるから、このような事にならないように、会費は僕に会った時、いつでも良いから払ってもらいたいのです。特に上級生の方々は、新入生を見習って、負けずに金を払っていただきたい。(中略)
大学生の会費が今年度から年額千円となりましたのは、大学生だけの練習をもちたいという会員間の要望のために、練習場が高校の音楽室を借りられませんので、幼稚舎や山手教会等で練習せざるを得なくなり、そのために徴収することにした次第です。これは3カ月ごとに250円ずつ払っていただくシステムになっておりますから、各四半期の当初に支払ってくださるようお願いします。
今年度の会計係の方針として、フランクの楽譜代は6月までに払っていただき、合宿費は毎年上限が五千円と決められているので、5月に千円、6月に二千円、7月に二千円を分割で納めてください。会員間には合宿期間の延長を主張している方もいるけれど、交通費の値上がり等からやむを得ず6泊7日になってしまいます。往復で前後がつぶれ、正味は5日しか練習できないという事は非常に残念ですが、今のところは致し方がないのでご諒承ください。(中略)
会計係のグチばかり書いて大変申しわけないのですが、会誌係から頼まれたので、ごたごたと書いてきましたが(頼まれてイヤ!!とはいえないのが江戸っ子ってんで下手な文章を書いてきたのですが、会誌係のいうような7枚もの原稿を書くのは本当に楽じゃねえや。まだやっと半分くらいしか書けないのに、もう書くことがなくなってしまった)。他に書くことがないからまたグチを書かしてもらう事にする。
何しろ、会員の増加に伴い会費収入が多くなりニコニコしているので、この頃少し顔にシワができやしないかと(中略)、ところが喜んでばかりもいられない。幼稚舎で練習するたびに、一人10円の維持費を支払わなければならない(中略)。「金はある時に払え」(中略)。念のためいっておくと、会費を期末までに支払わないと、次の期には倍の500円もの出費をせねばならないから、会員のためを思って期日前までに払うことを勧める次第であります。(中略)
さて、今までグチめいた事ばかり書いてきましたが、ここで会誌係のご注文に従い、僕自身の抱負ともいうべき、また実現不可能な理想を最後に述べておきたい・・・。