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歴代幹事長語録

第2期に入った楽友会

 

室伏 尭夫(10期・第10代)

楽友会は今年で13年目を迎え、現在第2段階に入っているとみてよいと思う。第1段階とは未だ大学・高校が全く一緒の活動を行っていた時期であり、第2段階は楽友会が実質的に混声合唱団として歩み始め、かつ又、大学が独自の活動に踏み出した時から始まる。すなわち第10回定期演奏会において、それ以前の定期演奏会でとりあげていた男声・女声合唱をやめ、混声合唱のみの演奏会で、大学が独自のステージをもった時である。

この第2段階に入ってから少し気になっていることがある。第10回以後の第11回、第12回の定期演奏会においても同様の形式がとられているのであるが、混声合唱一本化については昨年成立した慶應義塾楽友会規約の成立より承認されていることもあり僕自身問題がない。しかし定期演奏会のステージ構成については問題があると思う。

それは大学だけが独自のステージをもちながら、高校にこれがないということである。もしもそれが原因で高校生を「今や定期演奏会の主役は大学であり、高校はそれについていけばいい」という気持ちに追いやったとしたのなら、僕は大変残念に思う。

全体規約にあるように、定期演奏会は全体楽友会の活動として明文化されている唯一のものであり、これは完全な提携活動なのである。高校は定期演奏会に賛助出演しているのではなくて過去、学制のために形式上はそのような形になったこともあり、また将来あるかもしれないが、これはあくまでも形式上、表面上、便宜的なものにすぎないのである、規約上あくまでも主体の一であり、実質的にも主体であるべきものなのである。

高校には日吉祭という大きな学校行事があり、中間試験があり、進学テストが迫り、そのために夏休み以後大変忙しいことは理解しているつもりであるが、高校生自身にも十分考えてもらいたい。少しファイトが足りないというか、意気ごみが足りないのではないかという感じがするのである。日吉祭や3高校合唱サークルで見せるエネルギー、ファイトを全体楽友会の活動の中にも十分発揮してほしいと思う。

とにかく高校は新入生歓迎会、日吉祭、3高校合唱サークル等、大学は演奏旅行、三田祭、今年から新たに加わったジョイント、6連等の活動を通して得た多くの成果を発表する独自の演奏、そして高校1年生から大学4年生までの7学年という厚い層で、1年間かけて練習した宗教大曲の演奏、このような二つの形式の演奏が、互いに良い影響を与えあっての演奏会が開かれてこそ、真に意義のある慶應義塾楽友会の定期演奏会といえるのではなかろうかと思う。

「楽友」第23号(64年5月)

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